コンテンツのデジタル化・大容量化に伴い管理において意識しておきたいのが「バックアップ」と「アーカイブ」の違いです。
両者は似ている部分もあるものの、その目的や保存方法には明らかな違いがあります。バックアップとアーカイブ、それぞれの特徴と違いについて解説していきます。
「バックアップ」と「アーカイブ」
メディア その他バックアップ(back‐up)
スポーツ等では、ある選手の失策に備えて、他の選手がその後方を守りリスクに備える事をさしますが、
デジタルデータの場合は稼働のデータの複製、もしくは差分・増分データを定期的に保存する方式です。
バックアップの目的は、データが何らかの障害やヒューマンエラー等により破損・消失する前に保存しておくことにあります。
万が一データが破損、紛失した場合に、復旧・復元するする事に使用されます。
アーカイブ(archive)
アーカイブのそもそもの意味合いは「記録保管所」や「書庫」になります。
デジタルデータの場合は、永久・長期保管が必要なデータや、アクセス頻度の低下したデータを安全に保存するための方式で
必要なときに、データをリストアし利活用します。
基本的には変更などはされないず、長期にわたってデータをオリジナルのまま保管、活用することを目的とします。
「バックアップ」の方法
バックアップは、万が一パソコンのデータが消えてしまっても、データをすぐに元に戻せるように、あらかじめ別の媒体、例えば外付けHDDなどにデータを複製していきます。
普段の業務において、常に扱うデータは日々更新されるので、バックアップデータは常に上書き更新されます。専用のソフトを使えば定期的にバックアップを行う事ができます。
「アーカイブ」すべきデータとは?
アーカイブの目的は利用頻度が低くても必要なデータになります。
全てのデータを保存できれば良いのかもしれませんが、データを保存する媒体には限りがございます。
コストをかければ増やす事はできるかもしれませんが、それでも無限という訳にはいかないのが現実です。
一部資料では2025年には、全世界で発生するデータの量は163ゼッタバイト(163兆ギガバイト)にまで増えるなんていうとんでもない予測がでております。
(参考資料:『2025年に全世界で発生するデータ量は163ゼッタバイトに、IDC調査』)
アーカイブが必要なデータの例として以下が挙げられます。
- 法令やルールで保存期間が定められた書類のデータ
法人関連で、総務に関わるものは2〜5年、経理に関わるものは7年、会社法に関わるものは10年(例外もございます)等は法令で保存期間が決められており、必要に応じて提出が求められたりします - システムの操作やネットワークへのアクセスなどのログ
通常は必要な頻度は少ないのかもしれませんが、外部からPCやシステムに不正にアクセスが生じたとき等、ログ管理があれば、いつ、どのファイルに、不正アクセスがあって情報が外部に漏れたのかを把握できます。スムーズな原因究明につながるだけでなく、事前に対策を打つことにも活用できます。 - 過去のコンテンツデータ・映像データ
防犯カメラやドライブレコーダーなどの映像は、有事における証拠となります。取材等で撮影された映像であれば、商業的価値、資料的価値を有するものとして扱われます。
数十年前に撮影された映像の中に後に有名になった人物が映っていて、高い価値のある資料映像になるということもあります。
これらの映像データはどうしても容量が大きくなり、いつ使われるか、いつ重要になるかわからないので、必要なものを取捨選択しなくてはなりません。
「アーカイブ」の方法
「紙は古くなれば傷んでくるので長期保存に向いていない。、デジタルデータは劣化しないから半永久的に保存できる」とつい思いがちですが、事はそう単純ではありません。
年代を確定できる最古の木版印刷物とされている、法隆寺に保存されていた百万塔陀羅尼は1000年を超える保存実績があったりします。(和紙だからとも言われていますが・・・)
洋紙は、酸性紙の寿命が 50~100 年であるのに対し、中性紙は酸性紙の 4~6 倍の寿命を持つといわれています
参考:紙の道)
デジタルデータはデータ自体は半永久的かもしれませんが、記録する媒体自体に必ず寿命が存在します。
参考:CDやDVDに寿命は存在する?)
ハードディスクは大容量を保存するには向いているかもしれませんが、一般的に言われているハードディスク寿命は5~10年(使用時間、通電時間等により異なります)
どちらを使用するにせよ、一定期間でデータを移し替える必要性がある事を覚えていた方が良いとおもいます。